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第4話 ナレーターインタビュー【四本木典子】(前編)
「原稿を噛んだらサヨウナラ」
2010年5月6日 ナレーターメルマガ139号より転載

ナレータースクールでは目立った存在ではなく「可もなく不可もなくという、目立たない”よくいる生徒”の一人だった。
「『ここは戦場か?!」と思っちゃいました(笑)徹夜明けのスタッフさんたちが慌ただしく働いてて。オンエア中は私も移動移動で息つくヒマもないんです(笑)というのもナレーション収録はブースじゃなく”大道具倉庫”の小さなスペースで収録しているんですが(笑)。自分の出番が終わったら、別のかたが収録をするのですみやかに部屋を出なきゃいけないんです(笑)」
自身がレギュラーを勤める生ナレーションの現場。原稿を読み間違えたらそのまま電波にのってしまう。「原稿を噛んだらサヨウナラ」のシビアな世界でも、彼女は笑っている。
インタビュー中は終始笑顔で会話には(笑)がいくつあってもたりない。知られざる「朝の情報番組」の驚きのエピソードの数々も、それを辛いというよりは楽しいこととして捉えられる前向きさをもっているのだ。
ナレーター四本木典子。
この春、数十年日テレの朝の看板として続いている番組のナレーターに大抜擢された。大手事務所数社も参加する激戦のオーディションを勝ち抜いての快挙。故郷の福井県から上京して2年目。ナレータースクールの「スクールバーズ」では目立った存在ではなく「可もなく不可もなく、順番がきてもサーっとダメ出しが終わってはい次」という、目立たない”よくいる生徒”の一人だった。
インタビューは20時まで続いた。いつもは布団に入いらなければならない時間。だが一度も笑顔は絶えない。この存在感が、”戦場”に爽やかな朝を告げている。
ひりひりするような、”戦場”だ
収録の日は、朝2時に起きる。ご飯を食べたら、「ザジズゼゾ・ジズゼゾザ…」を十回やる。「サ行」がちょっと苦手だ。それから「なのだ」など言いにくい単語も十回。朝4時には局からタクシーが迎えにくる。日テレはなぜか「黒のタクシー」と決まっているのだという。理由は今もわからない。
汐留についたら局入り。ニュース番組の背景によく映っている報道フロアをつっきって、「出演者も合同の前室(舞台袖にある簡易控え室)」に待機する。有名な看板キャスターと一緒で緊張してしまう。本人いわく「私ひとり、すみっこで”ちーん”としてます」。
あちこちを走り回っているスタッフたち。ぎりぎりまでVTR作りをしてスーパー(テロップ)入れの機材の順番待ちをするのが日常。ナレーターは出番がきたら収録にむかい、待ち時間は再び前室に戻る。出たり入ったり、オンエア中は息つくヒマもない。ひりひりするような、”戦場”だ
~戦場ではどんな感じで収録してるの?
「収録現場の”大道具倉庫”には、会議室によくある長机があって、その上にスタンドマイクが…といっても『これ、私の私物のほうが高価なのでは…(笑)』と思ってしまうくらいのもの。そこに小さな液晶テレビがガムテープで止めてあって(笑)机をはさんだ向こう側にDさんがいて、”あと5秒、4、3…”を出してくれるんです」
~すごすぎるねそれ(^_^;)
「初収録のときにスタッフさん本人から”こんな環境で読む経験は初めてでしょ?”って(笑)そんな中、ばたばたばた~っと階段をあがってきたスタッフさんに台本を渡してもらうんですね。もちろんオンエアははじまってますから、テストがないことはしばしば」
~ど、どうすんのそれ?
「もちろんテストなしのぶっつけ一発本番です(笑)!」
~本格的なナレーションの勉強は、はじめて2年たってないんだよね?よく生でちゃんと読めるね!
「やっぱりバーズで映像付きのレッスンを受けていたことが大きかったです。タイムを意識することに慣れいましたから(笑)どんな現場かわからない間は”とにかく慣れておくこと”って想像以上に大事ですね! 実際に現場で読んでみてわかったんですが、ギリギリの環境の生ナレには「早く読む」か「遅く読む」の2つくらいしか調節が入れられないんですね。そんな中『早く読みすぎて尺が余った時どう帳尻をあわすか=語尾で調節する方法があること』『遅く読んで尺が足りなさそうな時=句読点を抜く』などの映像に特化したテクニックを松田先生に教わっていて本当に助かった。だって私、何回かタイムがわからないまま読んでいる時だってあるんですよ~(泣笑)」
~まてまて。生ナレで尺がわかんないときがあるの?(^_^;)
「ほんとです(笑)タイムキーパー的に、私たちに読み出しと読み終わりのQだしをしてくれる人がいるんですが、この方がなぜかいらっしゃらない時もありました。この時はさすがに担当のかたが、別のスタッフさんにめちゃめちゃ怒られていましたが(笑)映像の雰囲気を見ながら、なんとかナレーションを入れました」
~すごい環境だね。
「はい、どんなトラブルが起きるかわからないんです(笑)そんな中、もう4年も番組をつづけてらっしゃる先輩ナレーターさんたちは「この日本語はこうした方がわかりやすい」とか「収録順はこうした方がいい」とかスタッフさんに提案をしてらっしゃるんですよ。そういえばバーズでは『現場での在り方』をブースワークと呼んでましたけど。先輩たちみたいに”頼られる”ところまでいくのは遠いですね。まだまだな私は『自分のバカー』と思いながら家に帰るんです。ちょっと胃が痛いですね(笑)」
デビューから一ヶ月。スタッフは収録がおわるとVTRチェックに走り去ってしまっていたが、最近少し会話ができるようになったという。
”戦場”に華を咲かせ、全国に朝を告げるナレーター四本木典子。
彼女はどんな道を歩んできたのだろうか。
(後編)「落ち込み続けるのってイヤだから」はこちらで読むことができます
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